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水のかたちー《源平合戦図》から千住博の「滝」までー@山種美術館

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日本画専門の山種美術館で開催中の”水のかたちー《源平合戦図》から千住博の「滝」までー”展に行ってきました。「水」をテーマに、暑い夏に涼をとれる展覧会になっています。

水のかたち展 章構成

水のかたち展の章構成は以下の通り。

  1. 雨と霧ー大気の中の水
  2. 川ー流れる水
  3. 滝ーダイナミックな水
  4. 海ー躍動する水
  5. 雪ー氷の結晶
  6. 特集展示:日本画に描かれた源平の世界

水のかたち展のみどころは大きく2つあります。

みどころ① さまざまな水のかたち

章構成を見れば分かるとおり、水のかたちとしてスタンダードな雨や海だけでなく、霧や雪などの様々な水の姿を描いた絵画を紹介しています。

写真撮影は小林古径「河風」のみOK。

小林古径 河風

日根対山の「四季山水図」の雪の描き方には目を見張りました。日本画は画材として、「絹」を使います。微妙に光沢のある絹を使って、あえて白の絵の具で塗りつぶさずに、雪のキラキラとした風景を描きだしていました。画材にまで気を配る画家の絵に対する探究心は、尊敬に値します。

そして、千住博さんの「滝」

千住さんといえば、モノクロの滝の絵が有名だと思います。しかし、今回の展示では、色のついた滝「フォーリングカラーズ」という絵を見ることができます。

オランダの友人の画家のアドバイスで、モノクロだった滝の絵に色をつけてみようと思い至ったそうです。

キャプションに書いてあった、「”赤”という色は明るいだけでなく、暗い赤もある」という趣旨の言葉が印象的でした。”暗い赤”というものがすぐには理解できなかったのですが、よく考えると、山種美術館が所蔵する速水御舟の「炎舞」は”赤”でも暗さを感じるなと思いました。

「フォーリングカラーズ」では、3色の滝が描かれていますが、赤色は2色使われています。そう、”明るい赤”と”暗い赤”です。同じ画家の同じ画題でも、絵に色がつくだけで、ポップアートのような雰囲気が出てくるのは不思議です。

みどころ② 源平の世界

最近話題の大河ドラマやアニメに合わせて、源平の戦いの絵画を特集していました。しかし、そこは山種美術館!ドラマやアニメに乗っかっていても、”水”のテーマからは離れていません。それによって、展示に一貫性があります。

有名な那須与一の扇の場面を題材にしているものが多かった気がします。

「源平合戦図」では、六曲二隻の巨大な屏風に様々な戦いの様子が描かれていて、圧巻の一言に尽きます。

まとめ

山種美術館「水のかたちー《源平合戦図》から千住博の「滝」までー」の感想でした。島国である日本では、水は身近なものであり、生きていくためには必要不可欠なものです。

同じ”水”というテーマでも、海を描く画家もいれば、川を描く画家もいる。そして、同じ海や川を描いていても、描き方は様々。そこを見比べるのも面白く、興味深い展覧会だと思います。

最後に、最近知った水に関する言葉を紹介しようと思います。

ある事がきっかけで、仏教のことを調べていました。その過程で修行僧のことを別名で”雲水”ということを知りました。”雲水”というのは、「行雲流水(こううんりゅうすい)」の略です。水や雲のように、修行僧が一カ所に留まらず、よき師を求め歩く姿から名付けられたそうです。

雲も水が姿を変えたもの。

字面も響きも綺麗で、水に関連する素敵な言葉だなぁと感じました。

展覧会概要

会期:2022年7月9日(土)~9月25日(日)

会場:山種美術館

時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜日

料金:一般 1300円 高校大学生 500円 中学生以下 無料

ABOUT ME
らうふ
音大ピアノ科卒業。 洋の東西を問わず、芸術が好き。今は、歌舞伎と日本画を中心に鑑賞する日々。好奇心は浅く広く、たまに深く。この性格が功を奏して?、今までに1年以上経験した楽器は7種類。美術展には2010年から通っています。