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日本美術をひも解くー皇室、美の玉手箱ー

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日本美術をひも解くー皇室、美の玉手箱ー@東京藝術大学大学美術館に行ってきました。

宮内庁三の丸尚蔵館が収蔵している皇室のお宝と、東京藝術大学大学美術館が所蔵する作品を合わせた計82件が出品されます。その内6作品が国宝に指定されています。

今回の目玉はなんといっても、国宝に指定されて初めてのお披露目となる、伊藤若冲の「動植綵絵」です。

私もこの作品が見たくて後期展示に行ってきました。会場には、若冲目当てのお客さんが大勢いて、コロナ禍にも関わらず大盛況でした。

宮内庁三の丸尚蔵館とは

皇室に代々受け継がれ、平成元年に皇室より国に寄贈された絵画・書・工芸品などを管理・保存するため、1992年に皇居東御苑内に建てられ、93年に開館。現在、約9800点を収蔵しているが、新施設移行のため、2023年秋まで休館中。

美術展チラシより

三の丸尚蔵館といえば、教科書にも載っている、国宝 狩野永徳《唐獅子図屏風》が有名です。

東京藝術大学とは

1887年に設立された「東京美術学校」が前身。学校長を務めた岡倉天心(1863~1913)が、1890年の講義で初めて日本の美術史を体系的にまとめた。現在までに収集したコレクションは3万件以上にのぼる。

美術展チラシより

日本の芸術の最高学府である東京藝術大学には、膨大な数のコレクションがあります。

美術展の章構成

日本美術をひも解く展の章構成は以下の通り。

  1. 序章 美の玉手箱を開けましょう
  2. 1章 文字からはじまる日本の美
  3. 2章 人と物語の共演
  4. 3章 生き物わくわく
  5. 4章 風景にこころを寄せる

なじみのない日本美術にも親しみ易いように構成されています。

みどころ① 皇室のお宝が集結

最初にもお伝えした通り、皇室に代々伝わる作品が出品されています。その中でも心惹かれた作品をご紹介します。

最初は、板谷波山の「葆光彩磁花鳥図花瓶」です。

今流行の「くすみカラー」が印象的な花瓶になります。淡いブルーの色味が可愛すぎる花瓶です。美術展のチラシには載っていないので、ぜひ会場でご覧ください。

2つ目は、「古代鷹狩置物」です。

この作品は「牙彫」と言って、動物の牙を用いて作った彫刻です。1900年にパリ万国博覧会に出品されて、金賞を受賞した素晴らしい作品です。

全体的に、動物の牙に見られる黄色がかった白が印象的です。この色味によって、彫刻作品に抱きがちな冷たい印象は薄くなり、作品に暖かさを感じる事ができます。

また、腰紐の房が彫刻とは思えないほど精巧に作られていて、その緻密さに圧倒されます。

みどころ② 明治の工芸品の超絶技巧

会場のいたるところで、明治時代の素晴らしい工芸品を見ることができます。

私の印象に残った工芸品は、この通り。

  1. 菊蒔絵螺鈿棚
  2. 石山寺蒔絵 文台・硯箱
  3. 上絵金彩蝶尽卵形合子
  4. 山路菊蒔絵料紙箱・硯箱・文台

ちなみに、先ほど紹介した「古代鷹狩置物」も明治32年に作られた作品になります。

蒔絵は特に、明治という時代を代表する工芸品ではないでしょうか。

蒔絵とは、

漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法、もしくはその技法を用いて作られた漆器のこと。

Wikipedia

螺鈿とは、

螺鈿(らでん)は、広義には貝をもって飾ること(貝飾り)をいうが、狭義には貝片を器物等の木地や漆面に装着して施す装飾法をいう。

Wikipedia

「菊蒔絵螺鈿棚」は、皇居内に設置された制作場でおおよそ9年かけて作られた作品です。天皇家の菊の御紋にちなんで菊づくしの作品になっています。

みどころ③ 国宝が集結

今回の展示では、国宝が6件出品されています。

三の丸尚蔵館の国宝は、

  1. 春日権現験記絵 高階隆兼
  2. 蒙古襲来絵詞 
  3. 唐獅子図屏風 狩野永徳
  4. 動植綵絵 伊藤若冲
  5. 屏風土代 小野道風

この中でも、特に注目を集めているのが、伊藤若冲「動植綵絵」です。国宝になってから初めてのお披露目となります。

若冲と言えば鶏の絵が有名ですが、「動植綵絵」では魚も描いており、私にとっては新鮮な体験でした。

「動植綵絵」で特に印象的だったのは、「白」の使い方です。

鳥の白い羽を細かく描きすぎて、羽根が透けているように見えたり、光沢があったりするように見えました。また、白やピンクの花は、花びらの縁を白い絵の具で縁取っていました。

そして、画面の背景を暗くすることで、白の絵の具をより白く見せていました。作品をより魅力的にみせたいと思う若冲のこだわりですね。

まとめ

東京藝術大学大学大学美術館で開催されている、「日本美術をひも解くー皇室、美の玉手箱ー」についてまとめました。皇室が代々大切にしてきたお宝が集結しています。

三の丸尚蔵館が休館している今だからこそ上野で見ることができます。その点でも貴重な美術展と言えると思います。

日本美術をひも解く 概要

会期:8/6(土)~9/25(日)

会場:東京藝術大学大学美術館

時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前)

休館日:月曜日(ただし、9/19(月)は開館)

料金:2000円

ABOUT ME
らうふ
音大ピアノ科卒業。 洋の東西を問わず、芸術が好き。今は、歌舞伎と日本画を中心に鑑賞する日々。好奇心は浅く広く、たまに深く。この性格が功を奏して?、今までに1年以上経験した楽器は7種類。美術展には2010年から通っています。