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美をつくし 大阪市立美術館コレクション

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美をつくし 大阪市立美術館コレクションに行ってきました。

「美をつくし」って、聞き慣れない言葉だけれど何?と言う方に、今回の美術展が「美をつくし」と名付けられた経緯を解説します。

まずは、「美をつくし」の語源となる「澪標(みおつくし)」について

澪標は川の河口などに港が開かれている場合、土砂の堆積により浅くて舟(船)の航行が不可能な場所が多く座礁の危険性があるため、比較的水深が深く航行可能な場所である澪との境界に並べて設置され、航路を示した。

Wikipediaより

澪標 Wikipediaより

川に設置された目印のようですね。

そして、「美をつくし」の言葉の由来について

展覧会名「美をつくし」は、大阪市章にもかたどられる「澪標(みおつくし)」になぞらえたものです。難波津の航路の安全のために設けられた標識「澪標」のように、美の限りをつくしたコレクションの世界へ身をつくしてご案内いたします。

サントリー美術館HPより

「澪標」というものを初めて知りましたし、大阪市の市章になっているとは知りませんでした。

大阪市にある美術館ということで「澪標」→「美をつくし」になったということですね

「美の限りをつくしたコレクション」とは、期待が高まります!

大阪市立美術館とは

ところで、関東に住んでいる方は「大阪市立美術館って初めて聞いたわ」という方も多いと思います。(恥ずかしながら、私も10年ほど都内を中心に美術展に通っていますが、初めて聞きました)

ですので、ここで大阪市立美術館について解説します。

大阪市立美術館は、東京・京都に次ぐ日本で三番目の公立美術館として、昭和11年(1936)に開館しました。長年にわたり築かれたコレクションは、日本・中国の絵画や書蹟、彫刻、工芸など8500件を超え、時代も紀元前から近代まで実に多彩です。とりわけ関西の財界人によるコレクションをまとめて収蔵する点に特徴があり、美術館の敷地も住友家から大阪市に本邸跡地が寄贈されました。

サントリー美術館HPより

すごい歴史のある美術館なのですね。住友家も関わっているとは、恐れ入りました。

そして、大阪市立美術館は現在開館90周年(2026年)に向けて大規模な改修工事が行われており、長期休館中となっています。

大阪市立美術館の休館を機に、同館のコレクションを館外で公開しようというのが、「美をつくし」展開催の経緯との事です。

長期休館の今だからこその展覧会。期待がますます高まります。

美をつくし展 章構成

美をつくし 大阪市立美術館コレクション展の章構成は以下の通りです。

  1. 祈りのかたち 仏教美術
  2. 日本美術の精華 魅惑の近世美術
  3. はじまりは「唐犬」から コレクションを彩る近代美術
  4. 世界に誇るコレクション 珠玉の中国美術
  5. 江戸の粋 世界が注目する近世工芸

次に、「美をつくし」展のみどころをご紹介します。

みどころ① 仏教美術の豊富さ

「祈りのかたち 仏教美術」では田万コレクションを中心に展示されています。

田万コレクションとは、大阪で衆議院院員・弁護士として活躍した「田万清臣(たまん きよおみ)」「田万明子(たまん あけこ)」夫妻が、615点もの仏教美術・近世絵画を中心としたコレクションになります。

今回は、田万コレクションの中から24点が出品されます。

出品作品の中には、田万夫妻が祈るために使っていた木造も出品されていました。

田万夫妻が熱心な仏教とだったことが窺えます。

もう一つ印象に残ったものが、「法華経」です。

写経した巻物なのですが、普通は黒の墨を使うところ、この作品は「金泥」を使っています。

金泥(きんでい)とは、金を粉にして膠で溶かした絵の具のことです。

金泥で写経すると、通常は金色がくすんでしまうのですが、「お経なんだから、金ピカがい良い」と思った作者が、動物の歯などを使って金泥の文字を磨いたそうです。

その甲斐あって、文字が金色に光っていて、とても綺麗でした。

ここまでこだわるのは、作者も熱心な仏教徒だったことが想像できます。

みどころ② 学芸員さんのおもしろ解説

「美をつくし」展では、多くの作品にサントリー美術館の学芸員さんの解説がついています。

例えばこちらの原在正の「猫図」

原在正「猫図」/四辻公説賛

このとっても可愛い猫ちゃんの作品にはこんな解説がついています。

左上の賛には無能の人物が高い位でよい給料をもらうことへの批判が書かれています。可愛い猫に相反してニャンともキビシイ・・・

展覧会キャプションより

美術展という公共の場所に、古典的なギャグを入れ込んでくる学芸員さんのセンス・・・!

美術展を身近に感じて欲しいという、学芸員さんの涙ぐましい努力が窺えます!

そして解説ではありませんが、HPに載っている展覧会紹介動画もクセが強い動画となっています。

いくつかバージョンがありますが、どの動画も印象強く、何度でもリピートしたくなります。

サントリー美術館の学芸員さん、センスがすごいです。いつかお話してみたいです。

みどころ③ 天才の意外な一面

「日本美術の精華」では、尾形光琳が養子に行った息子に宛てた手紙が展示されています。(10/5~10/24まで)

天才光琳の手紙・・・。

どんなことが書いてあるのかと興味津々で解説を読んでみると、お世話になった方に「息子よ、今日中にお礼を言いに行きなさい」という内容。

しかも相手の方の在宅時間まで書いている様子・・・。そして、「今日会えなかったら、明日行きなさい」とも書いているようです。

息子さんが当時何歳だったのか分かりませんが、過保護すぎじゃありませんか!?

死後300年以上経っても名を馳せている天才も、息子には甘々だったのかもしれません。

まとめ

東京のサントリー美術館で開催されている「美をつくし 大阪市立美術館コレクション」について感想・レビューを書きました。

大阪市立美術館が誇るコレクションを、館外で見ることの出来る貴重な機会となっています。

芸術の秋が深まるこれから、ぜひ行ってみては如何でしょうか?

グッズ情報

私は美術展に行くと、ほぼ必ずポストカードを購入してきます。

今回も気に入った作品のポストカードを購入してきました。

みどころ②でも紹介した、原在正「猫図」と長谷川等伯「烏梟図屏風」です。

ポストカードは、1枚150円です。

長谷川等伯「烏梟図屏風」は、昼間は眩しくてあまり活動することの出来ない梟(フクロウ)を、烏(カラス)が冷やかしながらフクロウの周りを飛んでいるように見える絵です。

この絵の素晴らしい所は、木の枝でじっと耐える「静」のフクロウと、フクロウの周りを飛び回る「動」のカラスの対比が見事に描かれている点でしょう。

美をつくし展 概要

会期:2022/9/14(水)~2022/11/13(日)

会場:サントリー美術館

時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)  ただし、9月18日(日)・22日(木)、10月9日(日)、11月2日(水)は20時まで開館(いずれも入館は閉館の30分前まで)

休館日:火曜日(11/8は18時まで開館)

料金(当日券):一般 1500円  大学・高校生 1000円  中学生以下無料

ABOUT ME
らうふ
音大ピアノ科卒業。 洋の東西を問わず、芸術が好き。今は、歌舞伎と日本画を中心に鑑賞する日々。好奇心は浅く広く、たまに深く。この性格が功を奏して?、今までに1年以上経験した楽器は7種類。美術展には2010年から通っています。