泉屋博古館東京で開催されている「歌と物語の絵」に行ってきました。
突然ですが、皆さんは今年の大河ドラマ「光る君へ」を見られているでしょうか?
毎回ワクワク・ドキドキする展開で、私は毎週楽しみに視聴しています。
今回レビューする「歌の物語の絵」展では、「源氏物語」に関する展示もありますので、「光る君へ」が好きな方にはたまらない展示になっています。
さっそくレビューしていきます!!
「歌と物語の絵」展について
古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、三十一文字の世界が絵画化されたり、絵に接した感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から表現が高められてきました。
物語絵や歌絵の特徴のひとつは、精細な描写と典雅な色彩。宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承することでしょう。そして、ストーリーに流れる時間を表すかのような巻物、特別な場面を抽出してドラマティックに描き出す屏風など、長大な画面にさまざまな表現が生まれました。古典文学は、後世の人々が自分自身に引き寄せて味わうことで、読み継がれ輝き続けてきました。それに基づく絵画もまた同様です。
本展では、近世の人々の気分を映し出す物語絵と歌絵を、館蔵の住友コレクションから選りすぐってご紹介します。雅やかで華麗、時にちょっとユーモラスな世界をお楽しみください。泉屋博古館東京HPより
影響を与えあってきた物語や和歌、絵画の関係を知ることができる貴重な展示となっています。
また、今年は「光る君へ」の効果で、和歌と絵画の関係に着目した展覧会が数多く企画されています。
それらを見比べてみるのも興味深いことだと思います。
「歌と物語の絵」展 章構成
「歌と物語の絵」展の章構成は以下の通りです。
- うたうたう絵
- ものかたる絵
- れきし画
また、特集展示として「没後100年 黒田清輝と住友」が展示されています。
美術展のタイトル通り、和歌を題材に描かれた絵と物語を題材に描かれた絵を楽しむことができる展示となっています。
展示数は32点です。
みどころ① 源氏物語を題材にした絵
会場には「源氏物語図屏風」が展示されています。
源氏物語の有名な場面を題材にした作品です。
その一つに「若紫との出会い」の場面もあります。
たしか高校の古典の時間に暗記した記憶があるので、懐かしくなりました。
「雀の子を犬君が逃しつる。伏籠の内に籠めたりつるものを」という文章は今でも覚えています。
この場面は「光る君へ」でも出てきて話題になっていました。
また、「光る君へ」のファンにたまらない展示として、「藤原行成」や「藤原公任」の名前がキャプション(解説)に出てくることです
また、紫式部の曾祖父「藤原兼輔」に関する展示もあります。
みどころ② ざまざまな「ものかたる」絵
先ほどは「源氏物語図屏風」について取り上げましたが、その他にも物語に関する絵画を紹介しています。
私が印象に残っている作品を紹介します。
1つ目が「竹取物語」です。
作者不詳の「竹取物語絵巻」が出品されています。
「竹取物語」は日本人なら誰もが知っている物語で、ストーリーも大まかには入っているでしょう。
ですので、「あら、求婚されてる!」「ああ!月に帰ってしまう(´;ω;`)」などわかりやすく鑑賞できて楽しかったです。
2つ目が「是害房絵巻(ぜがいぼうえまき)」です。
是害房とは中国の天狗で、ある時日本を訪れた是害房が戦いに敗れ、日本の天狗に介抱してもらうというストーリーです。
是害房の隣にはセリフが書かれており、漫画のような構成になっています。
崩し字が読めたらきっと面白いに違いないと、悔しい気持ちにさせてくれる作品でした。
3つ目は、紫式部が石山寺で源氏物語を書く様子の「紫式部観月図」です。
3幅の軸に分かれているのですが月の様子が美しく印象的な作品です。
4つ目は、円山応挙の弟子の源琦(げんき)が制作した「楊貴妃・楼閣図」です。
こちらの作品も3幅に分かれていますが、真ん中の軸には楊貴妃、左右の軸には楊貴妃と過ごした在りし日の美しい楼閣と楊貴妃がなくなり、皇帝が嘆き悲しむ様子が反映されているような少し寂れた楼閣が描かれています。
なんだか切なくなる絵画で、私はとても好きな作品です。
みどころ③ 美しい文字を堪能できる
今回の展示では、美しい書跡も堪能することができます。
その一つに藤原定信の「石山切」があります。
定信は藤原行成を祖先とする書道の名家の出身です。
「料紙」という装飾された紙に書かれているので、美しい文字がより引き立ちます。
おすすめ書籍
ミュージアムショップでは、今回の展示に合わせて以下の本が紹介されていました。
源氏物語の絵についてや絵巻物について、さらに深く知りたい方は購入してみてください。
混雑情報・所要時間
私は土曜日の16時過ぎに伺いました。
休日とはいえ夕方だったので、それほど混雑はしていませんでした。
所要時間は1時間30分ほどでした。
歌と物語の絵画 まとめ
泉屋博古館東京で2024/6/1~2024/7/21まで開催されている「歌と物語の絵画」展の感想をまとめました。
大河ドラマ「光る君へ」で注目されている、和歌や物語を絵画の視点から鑑賞できるまたとない機会となっています。
ぜひ皆さんも足を運んでみてください!
歌と物語の絵展 概要
会期 | 2024/6/1㈯~2024/7/21㈰ |
会場 | 泉屋博古館東京 |
開館時間 | 11:00~18:00 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館) |
料金 | 一般:1000円 大学生・高校生:600円 中学生以下:無料 |