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【商売だけじゃない!】大阪の日本画

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東京ステーションギャラリーで開催されている大阪の日本画展に行ってきました!

10年以上美術展に通っていますが、なにげに今回が初めての東京ステーションギャラリーです。

日本画と言えば東京と京都ですが、大阪も一つの展覧会が開けるほどに日本画が充実していることを今回の展覧会で知ることができました。

京都の上村松園とともに「三園」といわれた島成園、「悪魔派」と揶揄された北野恒富も大阪で活躍した画家です。

今までスポットライトが当たってこなかった大阪の日本画。史上初の大規模展覧会です。

さっそくレビューをしていきましょう!!

大阪の日本画展について 

日本の三都のひとつに数えられる大阪は、近代において、商工業都市として大きな経済力を誇りました。その経済力を背景に、高い教養をもつ富裕層らが美術品を求め、それに応えるかのように北野恒富、菅楯彦、島成園といった画家たちが優れた作品を生み出し、彼らからは有能な弟子たちも育ちました。本展は、大阪の近代日本画の展開を6章に分けて紹介します。明治から昭和前期に生み出された、華やかで洗練された名品の数々をご堪能ください。

東京ステーションギャラリーHPより

大阪と言えば、言わずと知れた商人の街。

その経済力を背景に、独自の美術作品を生み出してきました。

近代大阪で活躍した画家達が、伝統にとらわれない自由な表現を花開かせた様子を見られる展覧会になっています。

大阪の日本画 章構成

大阪の日本画展の構成は以下の通りです。

  • 第一章 ひとを描くー北野恒富とその門下
  • 第二章 文化を描くー菅楯彦、生田花朝
  • 第三章 新たなる山水を描くー矢野橋村と新南画
  • 第四章 文人画ー街に息づく中国趣味
  • 第五章 船場派ー商家の床の間を彩る画
  • 第六章 新しい表現の探求と女性画家の飛躍

会場の都合により、第一章→第四章→第五章→第三章→第二章→第六章の順に展示されています。

みどころ① 近代大阪の日本画が大集結

大阪の日本画展では、50名を越える画家の作品が展示されています。

そのため北野恒富や島成園など、大阪以外でも名の知られている画家だけではなく、全国ではほぼ名前の知られていない画家も数多く登場します。

その一人として、展覧会のポスターを飾る「失題」を描いた中村貞以(なかむら ていい)が上げられます。

大阪の日本画のポスターを見たときに、オレンジ色の着物とデザイン的な要素が入った画風に、現代美術の作家かと思うような作品が印象的だった方も多いのではないでしょうか。

この中村貞以と言う画家は、子どもの頃にやけどを負い、両手で筆を挟むようにして絵を描いていた画家です。

しかし、「失題」やその他の作品を見ても、とても手が不自由だったとは思えない線の細さをしています。

この線の細さは、中村貞以の特徴の一つに挙げられるでしょう。

また、上田耕甫「虎図」も私の中では印象的でした。

理由は、勉強量と技量の高さです。

「虎図」の第一印象が、「あれ?この間見なかったっけ?」でした。

先日見てブログ記事も書いた、出光美術館で開催された「江戸絵画の華」で見た円山応挙の弟子が描いた絵にそっくりだったのです!

キャプションを見ると円山派から影響を受けているとのことだったので、とても勉強熱心だったことが窺えます。

そして、出光美術館で見た円山応挙や弟子達の作品同様、虎の柔らかい毛並みまで表現されていました。

無名画家でもここまでの技量を持っている絵師のいる大阪。

恐るべしです。

みどころ② 女性画家の活躍

大阪の日本画展で思ったのが、「女性の画家が多いなあ」と言うことです。

その女性画家の輩出を支えたのが、北野恒富です。

北野恒富は「白燿社」という画塾をやっており、女性の弟子をたくさん迎えています。

北野恒富の弟子は、島成園、木谷千種(きたに ちぐさ)などがあげられます。

今回の展覧会で、島成園は「祭りのよそおい」という作品が出品されています。

一見可愛い女の子たちがお祭りのために着飾って楽しんでいる絵に見えます。

しかし、島成園はこの可愛らしい絵に社会的なメッセージを込めています。

女の子たち一人ひとりをよく見てみましょう。

1番左と左から2番目の女の子。とても上等な着物を着ています。

左から3番目の女の子。先ほどの女の子たちの素敵な着物を羨ましそうに見ています。

1番右の女の子は、1番庶民的な着物をきて、髪にはどこかで摘んできたお花を挿しています。足も裸足です。

島成園は「祭りのよそおい」という絵で、「親の経済力が子どもにも影響する」という現代日本にも通じる社会風刺をしているのです。

ただ可愛らしい絵と言うだけではないのが「祭りのよそおい」の絵の素晴らしい点です。

北野恒富の女性の弟子の一人、木谷千種も「悪魔派」と言われた北野恒富顔負けの妖しい絵を描いています。

それが「芳澤あやめ」というタイトルの絵です。

「芳澤あやめ」とは、実在した歌舞伎の女形(男性が女性の役をする)の役者です。

火鉢のようなものに寄りかかって本を読む姿が妖艶すぎます。

女形さんが持つ妖しい雰囲気をよく捉えられています。

グッズ情報

いつものようにポストカードをゲットしてきました!

私が購入したのは、北野恒富「風」です。

1枚150円で購入できます。

この「風」という絵。強い風が吹いた瞬間、着物の裾を押さえる女性が描かれています。

女性の目線はちょっと妖しげ。

先ほどの木谷千種の絵に通じるものがあります。

音声ガイド

音声ガイドのナビゲーターは。大阪府堺市出身の片岡愛之助さんです。

オール関西弁で大阪の日本画の魅力を語ってくれます。

事前にアプリをダウンロードして、自分のイヤホンで聴く方式です。

料金は650円です。

大阪の日本画展 まとめ

東京ステーションギャラリーで開催されている「大阪の日本画」展について感想を書きました。

今まで知ることのなかった大阪の絵の魅力を発見できる展覧会になっています。

商売だけではない、文化も大事にする大阪の人々の素顔を見ることができます。

皆さんもぜひ鑑賞に行ってください。

それでは、また!

大阪の日本画展 開催概要

会期:2023/4/15(土)~2023/6/11(日)

会場:東京ステーションギャラリー

時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで)

休館日:月曜日

料金:一般1400円/高校・大学生1200円/中学生以下無料

リピーター特典:本展の入館記念券がリピーター割引券として使えます。

ABOUT ME
らうふ
音大ピアノ科卒業。 洋の東西を問わず、芸術が好き。今は、歌舞伎と日本画を中心に鑑賞する日々。好奇心は浅く広く、たまに深く。この性格が功を奏して?、今までに1年以上経験した楽器は7種類。美術展には2010年から通っています。