先日東京国立博物館の「国宝」展に行ってきました。
その時のブログがこちら
一部屋全ての美術品が国宝というのは、とても見応えのある展覧会でした。
これまでにも「国宝」に指定されている作品を見ることはありましたが、どのように選定され、国宝に指定されているのか全く知りませんでした。
美術館に行くことが好きな人でも、国宝がどのように選ばれているのか知らない方がほとんどではないでしょうか?
せっかく国宝展に行ってきたので、記憶の新しい内に国宝について調べてみました!
今回参考にした書籍はこちらの2冊です。
どちらの本も国宝についての素朴な疑問をわかりやすく解説してくれています。
では、さっそく国宝について解説していきます。
まず、「国宝」とは・・・
皆さんは「国宝」と聞くとどのようなものをイメージするでしょうか。
国宝は、1950年に制定された「文化財保護法」という法律で定められています。
この「文化財保護法」では国宝のことを次のように定義しています。
文部科学大臣は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる
文化財保護法第27条第2項より
ただ単に素晴らしい作品というだけでなく、世界的に見ても価値の高いものが「国宝」と呼ばれるものになります。
そして、「国宝」に指定される前段階として、「重要文化財」に指定されることが基本となっています。
「国宝」に指定されれば、次世代に作品を継承するために、適切に保存管理をしなければいけません。責任重大です!!
文化財の種類
先ほど「国宝」「重要文化財」という言葉が出てきましたが、文化財には様々なものがあるます。
文化財保護法では、美術品だけではなく、音楽や遺跡、景勝地も文化財に指定されます。
この画像を見ると「国宝」というのは、文化財のほんの一部に過ぎないことがわかります。
国宝ってどうやって選ばれるの?
国宝を管轄しているのは「文部科学大臣」ですが、調査・審議をしているのは文化庁の「文化審議会(文化財分科会)」になります。
その「文化審議会」の下に、「専門調査会」があり、絵画・工芸などのジャンルの専門家によって候補が選ばれます。
候補となる作品は、先ほども書いた通り「重要文化財」の中から基本的には選ばれます。
候補となった作品は審査にかけられますが、そこで一人でも「反対」の声が上がれば国宝に指定されることはありません。
満場一致で賛成が得られれば、文化審議会から文部科学大臣に「国宝にふさわしい」という旨が答申され、大臣が認めれば「国宝」ということになります。
国宝はとても厳しい審査をくぐり抜けて指定された貴重な作品ということですね!
国宝にはどんなジャンルがあるの?
国宝のジャンルは大きく分けると2つ。「美術工芸品」と「建造物」です。
さらに美術工芸品は、
- 絵画
- 彫刻
- 工芸品
- 書跡・典籍
- 古文書
- 考古資料
- 歴史資料
この7つに分類されます。
「彫刻」は9割以上を仏像が占めています。
「書跡・典籍」は和歌集やお経などが該当します。
「考古資料」は鏡や土偶などの遺跡から出土したものです。
「絵画」には仏教に関する絵も多く指定されています。
「彫刻」「書跡」「絵画」など、多くのジャンルに仏教に関する美術品が国宝に指定されており、日本美術において仏教は切り離せないものということがわかります。
ちなみに、一番国宝に指定されている件数が多いジャンルはなんだと思いますか?
実は一番国宝が多いジャンルは「工芸品」(254件 22年7月現在)です。
2番目が「書跡・典籍」「建造物」(229件 22年7月現在)で、4番目が「絵画」(166件 22年7月現在)になります。
「工芸品」が一番多く、絵画が4番目というのは意外な結果ではないでしょうか?
日本製以外の国宝もある
国宝というと日本人が作った作品だけだと思う方もいると思います。
私も東京国立博物館の「国宝展」を見に行くまではそう思っていました。
しかし日本人・日本製以外の国宝もあるんです!!
もっとも有名なものは歴史の教科書にも載っている「金印」!!
多くの方が、「金印って国宝なの!?」と思うことでしょう。
私もこの記事を書かなければ、「金印」が国宝に指定されていることを知る日は来なかったことでしょう(笑)
参考文献
この記事を書くにあたって参考にした本の紹介です。
国宝についてさらに知りたい方は、読んでみると国宝についての知識が深まりますよ!
最後に
国宝についての色々をまとめてみました。
厳しい審査をくぐり抜けてきた国宝、「やっぱり」と思うこともあれば「へー!!」と思うこともあったと思います。
私も記事を書きながらとっても勉強になりました。
余談ですが、国宝は徳島県・宮崎県以外の45都道府県にはそれぞれ一つはあります。あなたの住んでいる町にも国宝がひっそりと存在しているかもしれません。
ぜひ自分の住む町・都道府県の国宝に会いに行ってみてくださいね!!
私も職場の近くに見つけました!!行ってきます!!