「シダネルとマルタン展」@SOMPO美術館に行ってきました。
シダネルは、数年前に美術展で一度観てからずっと気になっていた画家でした。(残念ながら、どの美術展か思い出せず・・・。撮影可の作品だったので、印象に残っているのです。東京の美術展だったと思うのですが、分かった方コメントください。)
ほとんどの人にとって、この二人はあまり聞きなじみがない画家だと思います。チラシをよく見てみると「シダネルとマルタンに焦点を当てた、国内初の展覧会」だそうです。出品リストによると、半分以上の作品が「個人蔵」の作品です。そう考えると、貴重な展覧会の一つであると思います。
まず、シダネルとマルタンの簡単なプロフィールを紹介します。
シダネルとマルタンについて
アンリ・シダネル
20世紀初頭に活躍したフランスの画家。パリの国立美術学校でアレクサンドル・カバネルに師事。その後、フランス北部(エタプルやジェルブロワなど)に移り、身近なものを情感豊かに描いた。
アンリ・マルタン
フランスのトゥールーズに生まれ、同地の美術学校で学んだ後、パリの国立美術学校でジャン=ポール・ローランスに学ぶ。明るい陽光のもと風景や人物像を象徴主義的な雰囲気のなかに描いた。大画面の装飾画にも優れ、多くの公共施設の壁画を描いた。
プロフィールを書いて気づきましたが、二人ともファーストネームが「アンリ」なんですね。
シダネルとマルタン展 章構成
章構成は9つになっています。
- エタプルのアンリ・ル・シダネル
- 象徴主義
- 習作の旅
- アンリ・マルタンの大装飾画のための習作
- ジェルブロワのアンリ・ル・シダネル
- ラバスティド・デュ・ヴェールのアンリ・マルタン
- ヴェルサイユのアンリ・ル・シダネル
- コリウールとサン・シル・ラポピーのアンリ・マルタン
- 家族と友人の肖像
2人は「最後の印象派」と呼ばれるのですが、同じ時代同じ国に生まれても、北フランスと南フランスで過ごした影響もあるのか、作風は全く違います。
- シダネルは、グリーンの作品が印象的で柔らかい印象。
- マルタンは、原色に近い色を使ってパキッと明るい色使いが特徴的
私はシダネルの柔らかく、物静かな印象を受ける作品が気に入りました!
特に「ブリュッセル、グラン=プラス」は遠くから鑑賞すると、ほの暗くて静かな町並みを良く表現出来ている作品だと思いました。
会場内では、撮影可の作品もあります。
シダネルは「食卓シリーズ」と呼ばれる食卓を中心に据えた絵を何枚も描いています。「ジェルブロワ、テラスの食卓」は、グラスも椅子も1つしかないため、「一人暮らしの気ままな食事」「独身貴族の優雅なランチ(モーニング)」といったところでしょうか。上の作品以外にも「食卓シリーズ」は何点か展示されていました。人物が描かれていなくても、穏やかに過ごす情景がイメージできます。そして、絵から勝手に色々な妄想を膨らませるのも楽しい時間でした。
最後には2人の素描も展示していました。
素描は画家の技術や作風を強く感じられます。シダネルの素描からは、柔らかさを、マルタンの素描からは、力強さを感じました。
会場内では、シダネルとマルタンが庭園を散歩する映像が見られます。2人の友情を知ることの出来る貴重な資料です。
フランスでは再評価が高まっているシダネルとマルタン。日本でまとめて見ることのできる貴重な展覧会でした。
それでは、また!!