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【光の追求】テート美術館展 光

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新国立美術館にて開催されている「テート美術館展 光ーターナー、印象派から現代へ」に行ってきました。

18世紀から現代まで、人々が「光」をどのように捉え、美術作品の中に表現してきたのかを知ることができる展覧会となっています。

そして同時に、イギリス美術史も学べる機会になっています。

早速レビューしていきましょう!

テート美術館展 概要

「光でたどる美術史」をテーマに、光と美術の関係を学べる展示内容になっています。

数えきれない表情をみせる「光」をどう作品で描くのか。

新たな芸術表現を追求するアーティストたちはこの難解なテーマに向き合ってきました。本展では18世紀末から現代までの光をめぐる表現や技法の移り変わりを明らかにします。ウィリアム・ブレイクやターナー、コンスタブルから、モネなどの印象派、そしてジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン、草間彌生ら現代アーティストまで、時代や地域、ジャンルを超えて「光の作品」を俯瞰できる会場構成です。多様な光の表現に包まれる空間にご期待ください。

テート美術館展 公式HPより

イギリスを代表する国立美術館が「光」をテーマに約120点の作品を貸し出してくれています。

「光でたどる美術史」をテーマにしていますが、ウィリアム・ブレイク、ターナー、コンスタブルなど、イギリスを代表する画家も数多く出品されていることから、「イギリス美術史」もたどれる貴重な展覧会になっています。

一度で二度おいしい展覧会ですね!!

テート美術館とは

今回の作品は、一部の作品を除きイギリスのテート美術館所蔵のものが展示されています。

テート美術館とはどんな美術館なのか紹介します。

TATE(テート)は、英国政府が所有する美術コレクションを収蔵・管理する組織で、ロンドンのテート・ブリテン、テート・モダンと、テート・リバプール、テート・セント・アイヴスの4つの国立美術館を運営しています。

砂糖の精製で財を成したヘンリー・テート卿(1819–99年) が、自身のコレクションをナショナル・ギャラリーに寄贈しようとしたことが発端となり、1897年にロンドン南部・ミルバンク地区のテムズ河畔にナショナル・ギャラリーの分館として開館、のちに独自組織テート・ギャラリーとなりました。2000年にテート・モダンが開館したことを機に、テート・ギャラリーおよびその分館は、テートの名を冠する4つの国立美術館の連合体である「テート」へと改組されました。7万7千点を超えるコレクションを有しています。

テート・ギャラリーの本館であったミルバンク地区のテート・ブリテンは、16世紀から現代までの英国美術を中心に所蔵。ロンドンのサウスバンク地区に位置するテート・モダンは近現代美術を展示しています。

テート美術館 公式HPより

もとはナショナルギャラリーの分館だったのですね。

しかも、「テート」とはテート卿という人の名前だったとは意外でした!!

テート美術館展 章構成

作品リストに章構成は載っていないのですが、公式HPに載っていたので紹介します。

  • 精神的で崇高な光
  • 自然の光
  • 室内の光
  • 光の効果
  • 色と光
  • 光の再構成
  • 広大な光

以上のような章構成になっています。

目玉作品&個人的注目作品

テート美術館には、イギリスでもっとも有名な画家のターナーの作品が数多く所蔵されています。世界最大級だそうです。

その中で今回の目玉として、ターナーの「光と色彩(ゲーテの理論)—大洪水の翌朝—創世記を書くモーセ」が初来日!!

展覧会HPでも見どころとして紹介されていました。

個人的に注目した作品は、ジョン・ブレット「ドーセットシャーの崖からみるイギリス海峡」、ジョセフ・ライト・オブ・ダービー「トスカーナの海岸の灯台と月光」、エドワード・バーン=ジョーンズ「愛と巡礼者」です。

ジョン・ブレット、ジョセフ・ライト・オブ・ダービー、エドワード・バーン・ジョーンズは、3人ともイギリスやイングランドの画家です。

ジョン・ブレット「ドーセットシャーの崖からみるイギリス海峡」とジョセフ・ライト・オブ・ダービー「トスカーナの海岸の灯台と月光」は、どちらの作品も「波」が描かれていますが、夜と昼、作家によって表現が違う面白い作品だと思いました。

「ドーセットシャーの崖からみるイギリス海峡」の画面手前の波の表現は、本当に波が動いているように見える瞬間があります。

エドワード・バーン=ジョーンズ「愛と巡礼者」は、大画面の迫力の中に、バーン=ジョーンズらしい柔らかさが同居しているのが印象的でした。

エドワード・バーン=ジョーンズ 「愛と巡礼者」

芸術家は光をどう表現したか

この展覧会で私は、芸術家は大まかに3つに「光」というもの表現してきたのではないかと感じました。

1つは、光と影を強調することでドラマチックさを表現すること

2つ目は、自然の光をありのままに捉えて表現しようとしたこと

3つ目は、人工的に光を作り出し、その光を使って芸術作品をつくること

それぞれ詳しく書いていきます。

① 光と影の強調

神様が登場する作品では、神様に後光を当てて権威や威厳を持たせて作品をドラマチックに仕上げるなどしていました。

そうすることで作品の神秘性を演出することに成功しているのです。

参考作品として、ウィリアム・ブレイク「アダムを裁く神」、エドワード・バーン=ジョーンズ「愛と巡礼者」を挙げていました。

エドワード・バーン=ジョーンズ 「愛と巡礼者」

② ありのままの自然の光

時代が進むと、神話や聖書などのテーマから離れ、自然の風景が画家たちの絵の対象になっていきます。

自然の風景を対象にすることで、「光」というものをどのように絵で表現するかに焦点を当てるようになります。

それを追求していったのは、モネに代表される「印象派」の画家たちです。

屋外だけでなく、室内における光の表現も紹介されていました。

例としてハマスホイとローゼンスタインの作品が取り上げられていました。

ハマスホイは、光の表現に寒色を使っているため、静かで穏やかな室内を演出していました。

ハマスホイ 「室内」

ローゼンスタインの作品は、暖色を使って光を描き、室内にいる親子の関係の暖かさを表現していました。

ローゼンスタイン 「母と子」

③ 人工の光の作品

人は科学の力を使って、光そのものを生み出し、芸術作品に取り入れていきます。

そして、時には「偶然性」というものも取り入れて作品に仕上げています。

余談ですが、音楽にも「偶然性の音楽」というものがあり、美術と共通するものを感じました。

リリアン・レイン「液体の反射」では、回転する透明なガラス板のようなものに、ガラス玉を転がして作品を作っています。ガラス玉は二度と同じ様には動きません。

ジュリアン・オビー「トラック、鳥、風」は写真の作品ですが、作品を撮っている時に聞こえてきた言葉を題名に使っています。

リズ・ローズ「光の音楽」は、壁に光を当てて鑑賞者を照らしてその影を作品にするという手法を取っています。

光にノイズが入り、人が立っているだけなのに異様にオシャレになるという、美術の力を教えてくれる作品でした。

混雑状況

私は平日の昼過ぎに行きましたが、割と混んでいて、人気の作品は順番にみているような状態でした。コロナ前の状況に戻りつつあるなぁと思いました。

平日でこれですので、休日はかなり混むことが予想されます。

おすすめ書籍

イギリスの美術史について興味を持った方は、こちらの書籍をぜひ読んでみてください。

きっとイギリスの美術や歴史について詳しくなることができますよ。

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テート美術館展 まとめ

国立新美術館の「テート美術館展 光ーターナー、印象派から現代へ」について行ってきたレビューを綴ってみました。

光の美術史、イギリス美術史、両方を学べる素晴らしい展覧会だと思います。

それから、会場では現代美術を前にして、「やっぱり美術って難しいね」という声も聞こえました。

今回の記事が、「現代美術も面白い」と思えるきっかけや手助けになってくれたら嬉しいなと思います。

テート美術館展 開催概要

会期:2023年7月12日(水)~2023年10月2日(月)

会場:国立新美術館

開館時間:10:00~18:00 毎週金曜日・土曜日は20:00まで

入場は閉館の30分前まで

休館日:火曜日

料金: 一般:2200円 大学生:1400円 高校生:1000円

巡回予定:2023年10月26日(火)~2024年1月14日(日)

現在夜間の開館日を追加していると公式アカウントにありました。

ABOUT ME
らうふ
音大ピアノ科卒業。 洋の東西を問わず、芸術が好き。今は、歌舞伎と日本画を中心に鑑賞する日々。好奇心は浅く広く、たまに深く。この性格が功を奏して?、今までに1年以上経験した楽器は7種類。美術展には2010年から通っています。